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出版

日本電子書籍出版協会 発足
 出版社31社からなる「日本電子書籍出版協会」が2010年3月24日に発足した。代表理事は、野間省伸氏(講談社)。

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100324_356586.html

著作権法に従う限り、著者と出版社の間では、著者が出版社に対して「出版権」を設定する内容の「出版権設定契約」を締結することになる。

出版権設定(同法79条)は準物権的効力を有する。このため、出版権の設定は著作権法に従って登録を行うことができる(不動産の登記と似たイメージ)。
ただし、強い権利の設定である反面、出版権を設定された出版社には、「6ヶ月以内に出版しなければならない」(同法81条1号)等の義務が課せられる。
さらに、「出版権の内容」も、「著作物を原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利を専有する」と規定されるなど、あくまでも、「文書又は図画として複製する権利」に制限されている。

このため、デジタル化は「文書として複製する」ことにはあたらないため、出版社は、準物権的権利である「出版権」を持っていても、デジタル化権は持っていないのが原則である。

但し、著者と出版社の契約関係は様々で、著作権法上の「出版権設定契約」だけではなく、一般的なライセンス契約に近い「著作物利用許諾契約書」なども存在する。この場合は、「許諾の範囲」を契約で定めることになるため、最近は、「デジタル化の場合の印税割合」まで規定する契約も増えつつある。

とはいえ、法律上は、「出版権」のみで「デジタル化権」を持たないので、今後の「書籍のデジタル化」の流れで出版社が駆逐されてしまう、という危機感から、大手出版社を中心に「日本電子書籍出版協会」の発足が急ピッチで進められて来た。

当初、同協会の発足の意図として、出版社に「出版権」だけではなく「デジタル化権」も付与するような著作権法の改正を目指す、と報道されたが、今月24日に発足した「日本電子書籍出版協会」の野間氏の発言によれば、必ずしも、強制的に出版社が「デジタル化権」も取得できるべく動くのではなく、著作者との対話の中で良い契約関係を探る、という趣旨に変わった(?)ようである。

私も、著作権法上の「出版権」に関する規定は、よく読むと穴が多く、改正の必要があるのは間違いないと考える。
ただ、「出版権」の中にデジタル化権も含めてしまおう、というのは、あまりにもドラスティックな改正になってしまうので、「デジタル化」をどのように考えるかは、作品ごとに作家と協議しながら、契約において修正していく、という対応が現状では最も適切であろう(作家によっては、自分でデジタル化するより、出版社に介在してもらった方が安心、という人もいるに違いないから。)

★以下、「アマゾン・キンドル」の概要

1. アマゾン・キンドル(Amazon Kindle)とは?

Amazon.comが販売する電子ブックリーダー。「本のためのiPod」をコンセプトに開発を進め、2007年11月にアメリカでキンドルが発売された。意外にも中高年の利用が多い。主な特徴は以下のとおり。

・3Gデータ通信方式のEV-DOに対応し、書籍やブログ、雑誌や新聞などをPCなしで直接ダウンロード可能。
・電子インクを使用した高解像度の画面で太陽光の下でも実際の紙面を読む感覚で読める。(目が疲れにくい)
・辞書やWikipediaをネットワーク経由で利用でき、QWERTYキーボードで語彙の検索が可能。
・Kindle Store内や購入した書籍内の検索ができ、書籍にメモを付け加えられる。
・文字サイズが変更可能で、自動的なしおり機能も備える。
・バッテリー持続時間はワイヤレス接続の待ち受け状態で2日間、ワイヤレスをオフにした状態で1週間以上。
・ソフトウェアのインストールなどは不要で、購入後すぐに利用できる。

※ 2009年2月より第2世代のKindle2、2009年6月26日には9.7インチディスプレイを搭載し、PDFリーダーを標準搭載したKindle DXを発売。日本を含む海外市場ではキンドルが2009年10月19日に発売された。現在のところ日本語の書籍は購入できないが、日本語を含むPDFの表示に対応している。
※ 現在、40万点を超える書籍、NYタイムズなどの大手新聞社と提携。PCにつながずとも、クリック1つで書籍をダウンロードができ、月額約10ドル程度の新聞購読契約をすれば、早朝にはデータが自動受信される。
※ Kindle用のメールアドレスを利用して、個人のWord文書や写真をKindleに1件当たり10セントで転送することも可能。Wordのほか、HTML、TXT、JPEG、GIF、PNG、BMPのファイルが利用できる。

2. アマゾン・キンドルの長所、短所

☆GOOD
過去の電子ブックが普及しなかった失敗を克服するために、次のような特徴のある作りとなっている。

・デジタル版はベストセラー本でも約10ドルと、通常の本より安い。
・PCを使ってダウンロードする必要がなく、どこにいても1分以内に1冊の本がEV-DOを介して送られてくる。(通信料はAmazonが負担。ユーザーが通信コストを支払わなくてもいい)
またキャリアやプロバイだーとの契約が不要である。
・端末が省電力で電池寿命が極めて長い。

★BAD
当初、初代モデルに対する批判として、以下が挙げられたが、Kindle2(第二世代)やKindleDXで改善されつつある。

・端末の値段が非常に効果。⇒段階的に価格変更
・端末デザインが悪い(両側面にボタンが配置されており押し間違いが発生)。⇒デザインの改良
・PDFファイルが読めない。⇒PDFビューワーが搭載されたモデルが発売
・ダウンロードした本のテキストはDRM(Digital Rights Management、デジタル著作権管理の意)で保護されておりPCやPDAでは閲覧できない。
・読み終わった本を人に譲渡、もしくは古本として売買できない。
・端末故障・紛失による情報が全て失われる。
・ディスプレイがカラーでない。
・電子ペーパーの特性としてディスプレイの応対速度が遅い。

3. アマゾン・キンドルと従来のビジネスモデルとの違い

《従来》
従来(ソニーリーダー等)は、新刊の単行本の場合、書店での定価が27ドルだが、デジタル版の定価が20ドルで、卸がデジタル版を10ドルで仕入れて、ユーザーに16ドルで売るという流れが一般的だった。

《キンドルの場合》
新刊の単行本の定価が27ドルであっても、デジタル版をアマゾンで9.9ドルでユーザーに販売し、購入通信料はアマゾンが負担する。他方、アマゾンは主に以下に挙げる販売で利益を得る。

・キンドルのハードウエア本体(399ドル)
・各種コンテンツの販売
  新聞購読費(1新聞あたり月額10-15ドル程度)
  雑誌・ブログ購読費(タイム紙で月額1ドル50セント、1ブログ月額1-2ドル程度)
  専門書(30ドルから100ドル)
  印税を払う必要のない著作権切れの電子ブックの販売

4. キンドルのコンテンツ印税を7割にするオプションを発表

アマゾンは2010年1月21日に、Kindle向け電子書籍出版サービス「Kindle Digital Text Platform(DTP)」を利用する出版社や個人に対し、印税率を70%にするオプションを追加すると発表した。作家または出版社が設定した価格が2.99~9.99ドル、電子書籍の価格が紙媒体の書籍の最低価格より20%以上安いなどのある一定の条件を満たした場合に、作家や出版社に支払う印税を、電子書籍の表示価格の35%から70%に引き上げる。まずは米国で6月30日からスタートする。

★コンテンツ印税を70%にする条件とは?

従来の印税率は35%だが、販売価格や機能などで一定の条件を満たせば70%の印税を得られるようになる。条件は以下の通り。

・書籍の販売価格は2.99~9.99ドルの範囲に設定する。
・出版済みの書籍の場合、価格は紙の書籍の最安値より少なくとも2割引にする。
・出版側が著作権を持っているすべての地域で販売する。
・Kindle Storeが設定する音声読み上げ機能などのすべてのオプションを備える。
・Amazonでの販売価格が競合書店の中で最安値になるようにする。(Amazonが価格設定の自動化ツールを提供)
・(出版側が)著作権を有するコンテンツであること。

また、販売時のダウンロードコストが出版社側の負担になるが、例えば電子書籍の平均的なファイルサイズである368Kバイトの場合、1冊当たりのコストは6セント以下なので、従来のプログラムより収益率は高くなる。
印税7割というのは出版業界では異例の率だが、米AppleのApple Storeなどアプリストアでのコンテンツ提供者側の売り上げ配分は7割が一般的になっている。

5. 「書籍のデジタル化」時代へ移行(「iPad」の登場)。

アマゾン・キンドルのほか、2010年1月の米国CES展示会で多数の電子書籍端末が登場した他、同年1月27日には米Apple社がタブレット型コンピュータ「iPad」を発表し、競合製品として取り上げられた。
キンドルの登場で米国の電子書籍市場は07年以降拡大。全米出版社協会によると、今年9月までの毎月のコンテンツ販売額は1500万ドルにのぼり、前年に比べほぼ3倍のペースとなっている。
ちなみに、iPadは「電子雑誌」、キンドルは「電子単行本」などと称されることもある。

6. アマゾンがデジタル書籍を著者(個人)と直接契約する事における関係各社のメリット

《著者》
・完成済の原稿で出版社が取り上げなかった作品等を出版社を通さずに消費者へ届けることが可能になる。
・出版権は切れていないが増刷されない作品のような他社で出せない作品を消費者へ届けることが可能になる。但し、現状では契約期限切れの数か月前にどちらかが解除の申し入れをしない限り出版契約が自動更新されてしまう場合がほとんど。

《Amazon》
読者に書籍より安価で提供する事が出来る。出版社の印税より有利な条件を提示する事で著者の囲い込みも可能。

《読者》
書籍よりも安価に購入する事が可能。
しかし、現状のままでは、大手出版社が書籍よりも数カ月送らせて電子ブックを発売するなど、読者の選択肢が狭まってしまうおそれがある。
⇒小さな出版社で書籍とデジタル本を同時に発売する試みが始まっている。

投稿者 E&R | PermaLink | コメント(0) | トラックバック(0)
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