東京の著作権・エンターテイメントビジネス | E&R総合法律会計事務所 弁護士、公認会計士、税理士
HOME>エンタビジネス最前線

エンタビジネス最前線

映画と著作権について
連休中に、「映画と著作権」「映画と法律」についてtwitterで長々と語ってしまったところ、『罪とか罰とか』(監督:ケラリーノ・サンドロビッチ)等の数多くの作品を手がけた、映画プロデューサーの榎本憲男さんが"togetter"という便利なサイトにまとめて掲載してくださいました(第1回から第4回まで)。

榎本さんのストーリー解析に関するtweetも非常に参考になるし、面白いので、是非ご参照ください。
http://togetter.com/id/chimumu
 
投稿者 E&R (2010年5月 6日 20:51)
PermaLink | コメント(0) | トラックバック(0)
...
 イギリスで今月23日、サッカーのリーグ戦日程が著作物であるとの判決が出た、とのこと。 http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2010/04/25/24.html 珍しい判決なので紹介を。 ただ、記事には「異例の判決」とあるが、イギリスの場合、それほど突飛な判決ではない。 おそらくイギリスの著作権法に基づく限り、サッカーのリーグ戦日程は「データベースの著作物」に該当すると思われる(日本の場合、「データベースの著作物」は「コンピュータで検索」するものであることが条件になるが、イギリス著作権法ではかかる条件はない。)。 そして、イギリスでは、「データベース」の場合、「額に汗の法理」(sweat of the brow)というものが適用される。 「額に汗の法理」とは、まさに文字通り、「額に汗をかくぐらい、お金と動力をつぎ込んだものについては、著作物として保護しよう」という理論。よって、今回の日程表でも、「重要な労働と技術が必要」と裁判所が述べたようだが、これはまさに「額に汗をかいて日程表を作ったのだから、著作権で保護してあげましょう」という「額に汗の法理」を使ったものといえる。 この「額に汗の法理」は、日本やアメリカでは否定されているが、EU諸国では比較的認められることが多い。 日本やアメリカで否定されている根拠は、「著作権法は、あくまでも"創造性のある表現"を保護するものであり、どれだけの労力をつぎ込んだかで創造性を図るべきではない(つまり、どんなに一生懸命頑張って作ったものであっても、創造性のないものを著作権で保護すべきではない。)。」という点にある。 では、日本では、一生懸命作ったものは一切法律で保護されないのか?というとそうではなく、営業上の利益として民法や不正競争防止法といった、著作権法とは異なる法律で保護されることになる。 よって、イギリスでサッカーの日程表が著作権で保護されることになっても、日本でも保護されるとは限らない(というより、保護されない可能性が高い)が、参考までに。
投稿者 E&R (2010年4月27日 16:10)
PermaLink | コメント(0) | トラックバック(0)
知的財産戦略本部 コンテンツ強化調査委員会第5回
4月23日(金)、知的財産戦略推進本部にて「コンテンツ強化専門調査会」第5回が開かれた。
 
まずは、「権利制限の一般規定(いわゆる「日本版フェアユース」)」に関する現状報告が文化庁著作権課課長からあり、さらに、放送番組における映像実演の検討ワーキンググループの経過について座長の末吉弁護士から報告があった。
 
日本版フェアユース規定については、より詳細な議論が進められていることは分かったが、「パロディ」の取扱など個別の問題については「必要に応じて個別規定の改正・創設により対応することが適当」との見解が示された。
当然、いきなりの法改正で全ての事案が解決されることなど有り得ないのであって、個別の対応が必要なことは間違いない。しかし、「フェアユース」を認めた裁判例が一例もない状態で、「一般規定」を成文化することには、やはり不安を覚えざるを得ない。法制度化する上では、なるべく多くの事例を包含するようなガイドラインの策定を同時に行うことも重要課題となるだろう。
 
「放送番組の二次利用」における権利処理に関しては、まだまだ問題は山積みのようであったが、末吉弁護士は、「各権利団体が同じテーブルに乗ったこと自体が前進」と述べていて、まさにその通りだろうと思う。各権利団体が全体利益のためにどこまで譲歩するか・・・今後の前向きな議論に期待したい。
 
すでに各調査委員会等を踏まえて、「知的財産推進計画2010」に盛り込むべき事項は、ほぼ固まってきている。
本日の「コンテンツ強化専門調査委員会」では、「知的財産推進計画2010骨子」にすでに記載されている「コンテンツ特区」の設置と、「コンテンツ分野に関する国際標準(プラットフォーム)の獲得を通じた競争力強化」の2点を中心に議論が行われた。
 
まず、「コンテンツ特区」については、「総論賛成」であることは全委員の一致するところのように見えたが、各論ないしは具体論については各委員から懸念点が指摘された。
 
「コンテンツ特区」のイメージ図が配布されたが、そこに「著作権や商標等の調整を特別に円滑化」という項目があった。当然ながら、委員の中から、「特区では著作権フリーという趣旨か?」という質問が出たが、事務局は、「あくまでも特区が、権利者と利用者の権利処理の調整を行うことをイメージしている」と回答。「それでは、特区は、権利者と利用者の仲立ちをするだけにならないか?」という指摘があり、委員全員が苦笑い。
角川会長から、「あくまでもジャストアイディアだが、一日、コミケのような場を設けて、その場で提供された著作物は自由に使って良い、というものがあっても良いのでは?」という提案が出たが、当然、法律の専門家である中山教授からは「なかなかそう簡単には行かない。著作権法の改正まで見据えないといけない」という、やや高所からの指摘が出て、角川会長が「いや、あくまでもジャストアイディアなので・・・」と苦笑い。
 
私も、あくまでも物理的・時間的に制限をつけた上で、「ライツフリー」の機会を設けることは「コンテンツ特区(クリエイティブ特区?)」の特徴としてはアリではないかと思う。逆に、それぐらいの思い切った試みがなければ、「特区」とする意味があるのか?という気もする。
 
また、資料には「資金的手当は基本的には前提としない」という記載があったが、デジハリ杉山代表からも、「3D映像をクリエイターが制作するためには、莫大な費用がかかる」という指摘があったように、コンテンツ開発にとって一番のネックは「制作資金」であり、その「制作資金をどう回収するか」を考えて、結果的に、制作に踏み出せない、というプロジェクトが数多く存在する。「特区」である以上、一部の企画やコンテンツでも構わないが、資金的な手当があることこそが「特区」に優秀なクリエイターやプロデューサーを呼び込む強力なインセンティブになるはずだ。
 
さらに、ショートショートフィルムフェスティバル代表の別所哲也氏から、「特区の成果をどのような指標で判断するのか?成果目標が明確でなければ発展性がないのでは?」という指摘があった。コンテンツ以外の構造改革特区等は調査委員会を設けて評価をして、特区から全国区へ、という流れがあったようだが、わかりやすい指標のある対象(例えば、技術的な実施の可否が明確なもの)であれば良いが、「コンテンツ」という曖昧な対象の場合、確かに「成果」を図るのは非常に難しいだろう。
加えて、別所氏は、「インプット(制作)」と「アウトプット(配信、配給)」をごっちゃにしては具体論が進まない、と指摘。「制作環境を整備する」ことを目的とする特区なのか、すでにあるコンテンツを「配信する環境を整備する」ことを目的とする特区なのか、このあたりも明確にしなければ、「理想郷」の構想だけで終わってしまうだろう。
 
もう一つの議題の「プラットフォーム」の問題。
こちらは、意見交換の限りにおいても、委員間での知見レベルや経験則の差が如実に現れていた。
ソニーコンピュータの九夛良木氏が、日本のウェブサービスの大半は、ホスティングサーバとして米国をはじめとする海外のサーバを利用しており、日本のコンテンツに関する情報(個人情報も含む。)が海外のサーバに蓄積されている現状を改善しなければいけない、と提言。
デジハリの杉山代表も、コンテンツ関連の設備コストが圧倒的に日本は高いので、「人材育成」だけでは諸外国に太刀打ちできない、と指摘した。
さらに、別所氏は、「映画祭」という分野においても、クレルモンフェラン国際短編映画祭(フランス)では、クレルモンフェランだけではなく、世界中の映画祭のエントリーができるサイトを構築しており、世界中のクリエイターの情報を集約している、と指摘。いつもながら「熱い」別所氏らしく、「国護論」的な観点でも、(クレルモンフェランのように)日本に世界中のコンテンツの情報を集約して日本がコンテンツビジネスの国際ハブステーションになるような仕組みを構築すれば、日本のコンテンツ産業が海外に駆逐されることはない、といった提言をされていた。
 
電子図書館に関連する見解を講談社の吉羽委員が示したり、中村氏が全体的な意見をうまく整理して、次回の調査会への課題をとりまとめていたが、「実務家」レベルの委員と、津村政務官も含めた研究者・役人・弁護士・官僚・政治家の委員との間で、「実感」を伴う提言や「最新技術」に対する知見に差があって、ハイレベルかつ有意義な提言がなされても、全体的に「なるほど~」というだけで終わった印象は否めない。
 
最後に、角川氏から「別途ワーキンググループを」という意見も出ていたが、確かに、実務家、官僚、政治家すべての関係各位で、「知識」だけではなく、「実感」を伴う「危機感」を、より現実的なレベルで共有することが課題になるだろう。
投稿者 E&R (2010年4月25日 12:53)
PermaLink | コメント(0) | トラックバック(0)
ネットでの名誉毀損 最高裁判決が相次ぐ

今年3月から4月にかけて、「インターネット上での名誉毀損・侮辱」に関する最高裁判決が続いている。

 

1つは、「ホームページ上での名誉毀損についても、新聞や雑誌での名誉毀損と同じ基準で、名誉毀損の成否を判断して良いか否か」という論点。最高裁は、これについて「ネットも雑誌も、全て同じ基準で判断すべき」という判決を下した。

http://www.webdice.jp/diary/detail/3888/

 

そして、4月に入って、立て続けに、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(通称:プロバイダ責任制限法)」、に関する最高裁判決が下されている。

 

前提知識として、この「プロバイダ責任制限法」の概要について説明すると、この法律は、インターネット上の掲示板やSNSのようなコミュニティサイトでの投稿や書き込みで、特定の人物や団体に対する名誉毀損的、侮辱的表現があった場合に、

■ その掲示板やサイトを管理している運営者(サービスプロバイダ)の賠償責任を制限すること(被害が生じていることを知っている場合等以外は賠償責任を負わない。)

■ 被害者が、「誰がこの書き込みを行ったか」を特定するために、サイトの運営者に対して投稿者の住所や氏名を開示するよう求めることが出来ること(「発信者情報開示請求」という。)。

の2点を定めた法律である。

 

ここで、便宜上「運営者」とか「プロバイダ」という曖昧な表現を使っているが、法律上は、「特定電気通信役務提供者」という言葉で表現されている。

この「特定電気通信役務提供者」には、掲示板やサイト運営者が含まれることは異論はないが、サービス提供者ではない、例えば、ドコモやKDDIといった、いわゆるインターネットに接続するための「経由プロバイダ」「接続業者」も、この法律における「特定電気通信役務提供者」に該当するか否か、という点については争いがあった。

 

まず、この点について、最高裁は、今月8日、「経由プロバイダも、プロバイダ責任制限法における特定電気通信役務提供者に該当する」と明言した。最高裁が、この論点について明言したのは初めてである。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/378143/

 

これによって、ネット上で被害を受けた被害者は、サイト運営者だけではなく、「キャリア」「経由プロバイダ」と言われるインターネット接続業者に対しても、「発信者情報開示請求」を行うことが出来ることが明白となった。

 

これは、被害者にとっては非常に大きな「前進」である。

 

なぜかというと、被害者が、掲示板やサイト運営者に対して「発信者情報開示請求」を行ったとしても、サイト運営者も、投稿者の「住所」や「氏名」までは把握していないのが通常であるから、サイト運営者から開示される「発信者情報」は、せいぜい「IPアドレス」どまり、になる。

しかし、IPアドレスを特定できても、そのIPアドレスから発信者の住所、氏名を特定しようと思ったら、どうしても接続業者に、接続情報を開示してもらわなければならない。

もし、接続業者が、プロバイダ責任制限法における「特定電気通信役務提供者」ではない、となると、被害者は、サイト運営者からIPアドレスを開示されただけで、結局、投稿者を特定できずに終わってしまうケースがほとんど、という結果になる(明らかな「泣き寝入り」のケースもあるだろう)。

 

8日に下された最高裁判決により、被害者はキャリアや接続業者に対しても発信者情報開示請求ができることが明らかになったので、被害者側としては、投稿者の特定がしやすくなった、と言える。

 

さらに、昨日(13日)、「もし経由プロバイダが、発信者情報開示請求に応じなかった場合に、被害者に賠償責任を負うか?」という論点に関して、最高裁が、プロバイダの賠償責任を「否定」する判断を下した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100413-00000079-mai-soci

 

上述のとおり、プロバイダ責任制限法は、被害者がプロバイダに対して投稿者の「情報開示」を請求できると定めているが、プロバイダは、投稿者から意見を聴取したり、書き込みの内容が「明らかな権利侵害にあたるか」を考え、「情報を開示しない」と判断することが出来る。

ただし、かかる「開示しない」というプロバイダの判断に「故意又は重過失」があった場合は、プロバイダは被害者に損害賠償をしなければならない、とも定められている。

 

本件の被害者は、KDDIが「発信者情報」を開示しなかったので、KDDIの対応には「故意又は重過失」があるとして、KDDIに対して損害賠償を請求していた。

第一審では、KDDIが勝訴、第二審では逆転して被害者が勝訴。逆転につぐ逆転の末、最高裁まで争いが持ち込まれ、再度の逆転により、KDDIが勝訴した、という事件である。

 

プロバイダが発信者の情報を開示するか否かの判断に、「故意又は重過失」があるか否かは、ケースバイケースの判断になるだろう。よって、本件では、KDDIが勝訴したが、他のケースにおいても同様とは限らない。

なお、本件において、最高裁は、KDDIの「賠償責任」は否定したものの、発信者情報を被害者に開示することはKDDIに求めている。

(ちなみに、この裁判は、私が弁護士になる前に、研修時代に同じアパートでルームシェアをして、ともに学び、遊んだ親友・星川信行弁護士がKDDI側の弁護士として担当した。逆転、逆転で弁護士としては大変な裁判だったと思うが、本当におつかれさまでした、と言いたい。)

 

以上、長くなったが、「プロバイダ責任制限法」や「ネット上の名誉毀損」に関連する最高裁の判断をまとめると、、、

 

1.名誉毀損が成立するか否かは「ネット」だからといって特別扱いはされない(新聞や雑誌と同様の基準で判断される)。

2.掲示板、SNS、ブログでの名誉毀損・侮辱について、「経由プロバイダ」や「接続業者」も賠償責任を負う可能性がある=被害者は、「接続業者」に対しても、投稿者の情報開示を求めることができる。

3.プロバイダが、投稿者の情報を開示しなかったとしても、プロバイダに損害賠償を求めることは余程のことがなければ認められない。

 

といった感じだろうか。

 

今後も、「ネットにおける表現やモラル」というのは、IT分野での大きなテーマになるだろうし、訴訟や法改正も増えてくるだろうから、動向を注目していきたい。 
投稿者 E&R (2010年4月14日 12:35)
PermaLink | コメント(0) | トラックバック(0)
「冬のソナタ」DVD販売延期

 

同大ヒット韓国ドラマ「冬のソナタ」のオリジナル版DVD発売を予定していたソニー・ピクチャーズエンタテインメントが、同ドラマの劇中で使われている楽曲の権利処理が不十分という理由で、DVD販売を延期し、さらに全国紙面において「権利者をさがしています」という異例の呼びかけを行った。

 


http://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-news/news/20100326/enn1003261635017-n2.htm

同ドラマで使われた楽曲の権利関係については、楽曲の著作権の信託譲渡を受けたと主張するアジア著作協会(JASRAC等と同じ著作権等管理事業者)が、第一興商に対して著作権使用料相当額を請求する内容の訴訟を提起しており、今年2月10日に第一審(東京地裁)の判決が出た。
東京地裁判決では、アジア著作協会が権利を保有していることを認めた楽曲もあるが、多くの楽曲において、同協会の権利保有を否定した。

東京地裁がアジア著作協会の権利を否定した理由は楽曲によって様々だが、共通している大きな要因は2つある。

1つは、楽曲の原権利者(作詞家、作曲家)、韓国の著作権管理会社である株式会社ザ・ミュージックアジア、日本の著作権等管理事業者であるアジア著作協会の3者間における契約関係が不明確な楽曲が多かったこと。

もう1つは、原権利者とアジア著作協会との間に入るべきミュージックアジアが、平成19年3月に会社清算により閉鎖されたこと(=大事な時に姿を消してしまったこと)、である。

ここで、そもそも「海外の楽曲に関する権利処理」がどのようになされるかを簡単に概説しよう。

海外の作詞家・作曲家等の原権利者は、まず自国の音楽出版社(著作権管理会社)に著作権を信託譲渡する。この場合の音楽出版社を、オリジナルパブリッシャー(OP)という。
日本の音楽出版社が海外楽曲の日本における使用権を得ようと考えた場合は、このOPとの間で、「サブパブリッシング契約」を締結し、自らが、OPに対するサブパブリッシャー(SP)となる。
このOPとSPの契約関係に基づき、日本の楽曲使用者は、SPに対して楽曲の使用料を支払うか、又は、SPが会員となっている著作権等管理事業者(多くの場合はJASRAC)に使用料を支払う。
これにより、楽曲使用者→JASRAC又は音楽出版社(SP)→海外の音楽出版社(OP)→原権利者へと使用料の分配がなされることになる。

さらに、諸外国にも、自国内にJASRACと同様の機能を有する団体が存在するが、その団体とJASRACが「相互管理委託契約」を締結している場合は、楽曲使用者はJASRACにさえ使用料を支払っていれば、JASRAC→海外の著作権管理団体→海外の音楽出版社→原権利者へと使用料の分配が自動的になされる。

この2つのルート(「サブパブ契約ルート」と「JASRACルート」)が、海外楽曲の著作権使用料に関する、最もポピュラーな分配ルートである。

では、「冬のソナタ」等の韓国楽曲に関しては、この2つのルートを取ることが出来なかったのだろうか?

韓国にもKOMCAというJASRACに相当する著作権管理団体が存在する。
しかしながら、このKOMCAとJASRACは2008年1月まで「相互管理委託契約」を締結していなかった。つまり、2008年1月までは、上記の2つのルートのうち、後者のルート(JASRACルート)が使えなかったのである。

そして、KOMCAがそのような状態だったため、2008年までは、韓国楽曲の日本における使用の窓口となる著作権管理団体が乱立する形となってしまっていた。
複数の管理団体が存在すること自体は悪いことではなく、現在の日本も同じ状態だが、日本の場合は、良い意味でも悪い意味でもJASRACという独占団体が存在したため、使用料の回収方法がシステム化されており、そのシステムを踏まえて、イー・ライセンス等の複数の著作権管理事業者が存在する形になっている。
しかし、韓国の場合は、そもそも(特に海外での楽曲使用に関する)「システム」自体が確立しない状態で、管理団体のみが乱立する形になってしまったため、契約関係がぐちゃぐちゃになってしまったのである。

このように、海外楽曲の日本での使用において、通常使われる分配ルートが使えない状態にあったにもかかわらず、BGMをガンガン挿入した「冬のソナタ」が日本で大ヒットを記録してしまったため、音楽の権利処理が後手後手になってしまって、今回の「DVD販売延期」という不幸な事態を招いてしまったのである。

アジア著作協会が提起した訴訟は、現在控訴中であり、未だ確定していない。このため、「冬のソナタ」の楽曲の権利関係は不明確なまま。よって、SPEとしても、販売延期の決断をせざるを得なかったのだろう。

ちなみに、今回SPEが全国紙で「権利者をさがしています」と告知したことについて、「韓国の楽曲なのに日本で告知することの意味があるのか?」という疑問を呈している人がいるようだが、実はこれは大きな意味がある。

確かに、日本で告知をしても、韓国の権利者が名乗りを挙げてくることはないかもしれないが、著作権の利用はあくまでも国ごとに考えるので、「日本国内で、権利者を探そうと思ってどんなに努力をしても、結局見つけることが出来ませんでした」というのは、少なくとも日本国内で「権利者不明」のまま楽曲を使用する理由にはなり得るのである(最終的に、今年1月に改正されたばかりの著作権法上の文化庁長官による裁定制度を利用することを想定しているのかもしれない。)。

どこまでのことをすれば「努力をした」ことになるのか?の基準はないが、主要全国紙での呼びかけ、というのは、かかる「努力」のうちの大きな要素になるだろう。

投稿者 E&R (2010年3月31日 21:05)
PermaLink | コメント(0) | トラックバック(0)
1
お問い合わせ

tel

フォームでのお問い合わせ

ご質問等お気軽にご相談下さい。